BLOG漂流豆腐-絹ごし-

2020.02.15

飯島さんへ

飯島さん、

飯島さんは音楽の世界でわたしにとっては家族のような存在です。何か言葉を書こうとしたら、とてつもない長さになってしまいそうです。インターネットの場に言葉を残すことに意味があるのか、もしかしたら飯島さんは首をかしげるでしょうね。でも、書きます。

飯島さんとの出会いについて思い返していました。

わたしが活動の最初から、自分の作品は自分で全部を作りたいとこだわっていたこと、それが大きなレーベルでは’先ずは売れてから’と異なるプランを提示されてばかりいたところに出会ったのが飯島さんとレーベルのエンジェルスエッグでした。
最初から年齢も性別も経験も関係なくフラットに接し、わたしの信念をそのままに受け止めてくれた飯島さんは、さらなる情熱でわたしの作った音楽を作品にしてくれました。最初の7インチレコードをだし、それから2枚のアルバム、リミックス集、ep、たくさんのレコードを一緒に作りましたね。それらの音楽を聴いていてくれたという人が今でも時々現場に来てくれます。アーティストやDJとして活動している人もいれば、こどもの顔を見せてくれる人もいるんです。

ミックステープやCD、いろんなものを自主でも作りました、そのたびにお店ZEROでも沢山扱ってくれました。そもそもそういったことを面白がってできたのも、すぐそばにそれをいつも楽しくやっている飯島さんがいたことが大きかった。DIY精神なんて言葉を使うまでもなく、自然に楽しく自分たちなりに、ということはわたしの中ではずっと大事な感覚です。

飯島さんがブリストルとあんなにも深く繋がっていったのは、その地の音楽が好きだっただけでなく、そこに住むアーティストやその仲間たちが飯島さんと同じく、穏やかで情熱的で反骨であったから。そのことはブリストルに行った短い時間でも肌身で感じたものです。音楽の話、時には人生の話を通して、飯島さんがそこに居ない時にも、彼らのあたたかさや真摯さにふれ、学ぶことがたくさんありました。
現地集合で飯島さんとブリストルやブライトンを旅したこと、ロブやレイチェルの家に泊めてもらったり、夜中の体育館でのレイヴに行ったこと、その夜のドキドキは今でもはっきり思い出せます。貴重な時間でした。音楽は魔法ですね。

飯島さんの導きがあって実現したRob Smith氏とのレコーディングセッションで、歌入れをした時の穏やかであたたかいムードは、今でもわたしにとっての良いレコーディングの指標です。最初はブースで録音していたけれど、マイクを外に出して、みんなと同じ空間で歌い直した。機材やセッティングの良し悪しではなくて、心の置きどころが何よりも大切と、そのことを実感する日々は続いています。

アルバムを出してからツアーした道中も、わたしにとってはそれが初めてのツアーでしたし手探りでした。得意のデザインを生かして小さなグッズを次々に作ってくださったり、お店もあったのに大変な旅にもよく付き合ってくださいましたね。バンドメンバーのみんなも含め、ともにいろんな景色を見れたことは、ずっと宝物です。

エンジェルスエッグを離れてからも、お店に顔を出せば変わらずにっこり。おしゃべりの合間にもわたしが興味を持ちそうなビートを次々かけて、その曲は・・・、この曲はねえ、となるのがお約束でした。(そういう思い出はきっとたくさんの人の中にあるでしょう)そういう場を実際のお店として続けてこられたことは、想像以上にタフなことであったと思います。
そんな風に飯島さんはUK音楽、Rebel音楽の伝道師としてさらに邁進されている中で、わたしもわたしで、飯島さんやレーベルへの恩返しは、わたし自身が活動を続けることであると思っていました。それぞれの持ち場で頑張りましょう、といつも心に聞こえてくる、ずっと同志の気持ちでおります。わたしがいまも活動を続けられるのは、最初に頑固娘の背中を押してくれた飯島さんがいたからです。

個人的な思い出話を随分と書いてしまいました。私たちが知っている以上に、見たり聴いてくれている人がいること、それでまた何かを始めてくれる人がいることは、ずっとわたしたちの喜びですよね、飯島さん。わたしはわたしのできることを続けます。
最後に。レーベルでお世話になったのは飯島さんだけではありません。飯島さんをずっと支えていらした美和子さん、ツアーに同行してくださった日もありました。お通夜、告別式の会場で飯島さん夫妻のたくさんの写真やエピソード(交換日記はバイブルにしたいくらい傑作!)を拝見して、おふたりの絆や愛の深さに胸がいっぱいになりました。飯島さんが周囲の女性やアーティストにとてもフラットで献身的でいてくださったのは、美和子さんの存在が大きかったのだと改めて感じます。大変な状況のなか愛溢れる素晴らしい会でわたしたちにも見送らせていただいて、ほんとうにありがとうございます。

ロブが、飯島さんは真のラバダブソルジャーだと言っていて、深く頷きました。ブリストルやエンジェルスエッグ、ゼロに置かれているようなアーティストの多くはみんなそれぞれが孤軍奮闘する一艘の舟のようなものです。飯島さんはその舟にとっての港のようでありながら、同時に孤軍奮闘されていた大きな舟でした。

おふたりの大切なお嬢さんがいつかこの文を読むことがあるかはわかりませんが、れおんちゃん、とおんちゃん、わたしはあなた達のお父さんお母さんをほんとうに尊敬しています。そういう人がたくさんいます。どうか誇りに思ってくださいね。

引き続き音楽を通して、飯島さんのご家族へのサポートが少しでもできればと思っています。
それについてはまたアナウンスさせてください。

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